一人目は寺岡政美さん。国際的に活躍なさっている同氏については詳細は述べるまでもないが、尾道市出身で、20代でアメリカに移り、現在はオアフ島のワイナマロに住む。浮世絵をベースに、エイズや社会問題を扱った作品を数多く発表している。
訪問時にスタジオの壁にかかっていた大きな金の屏風絵のシリーズは、女性の人権を巡る戦いを描いたもの。最近、寺岡氏はロシアのプッシー・ライオットというフェミニスト・ロックグループを支援していて、彼女たちを題材にした演劇をプロデュースし、ホノルルのギャラリーで上演もしている。
そのプッシー・ライオットと言えば、アンチ・プーチンで、モスクワでゲリラ的に即興演奏を行って逮捕・拘留されたグループとして知られる。下の絵で、色付きの目出し帽を被ったプッシー・ライオットのメンバーらしき女性たちに見つかり、隅っこで気まずそうにしているのがプーチン。
同氏が暮らすワイナマロは、ワイキキからシーニックドライブを20分ほど走ったところにあり、少し内陸は静かな住宅街。ここであれらの作品が生まれているのはちょっとミスマッチな気がしてしまう。一般的に想像する「ハワイらしさ」と同氏の作品は、ある意味対極にあるかもしれない。それも含めて、興味深い訪問だった。
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