彼女の経歴はアーティストとしてはちょっと異色かもしれない。ニューヨーク出身のDeborahは、政治専門の弁護士としてキャリアをスタートし、カーター政権時代はホワイトハウスで仕事をしたこともある。
しかしその後、事故に遭い、リハビリをする過程でアーティストに転向した。
彼女の自宅兼スタジオで拝見したのは「Wasted」というシリーズ作品。遠目には普通の美しい抽象画だが、実はここには、アメリカ社会の問題に対するメッセージが込められている。
赤いTシャツを着たのがDeborah氏 |
他には、無実の罪で死刑判決を受け投獄され、その後釈放された人の一人ひとりのデータを、QRコードに込めた作品。スマホでQRコードを読み取ると、その人の名前と、投獄されていた年月が表示される。デジタルツールを使うことで、より幅広い層の興味を喚起しようとしているのだろう。
鉛筆で数十万の数字を順番に書いていったり、とにかく、彼女の作業は細かい。
社会に対するメッセージを伝えるためには、正確なデータに基づき、細かい作業にも妥協をしないDeborah。
彼女の言葉が印象的だった。
「世界を変えようと思って弁護士になったけれど、アートのほうが世界を変えられるとわかった。」
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