ヴェネチア・ビエンナーレのアルセナーレ会場は、ビエンナーレのキュレーターが選んだ世界中のアーティストたちの作品が展示されている。今年のタイトルは「Viva Arte Viva」、芸術万歳。特定のテーマを決めるのでなく、アーティストと一緒に作るビエンナーレというコンセプトで、作品はアーティストに委ねられた。それをアルセナーレでは7つのチャプターに分けて展示している。といってもチャプターごとに明確な区切りがあるわけではなく、意識せずに鑑賞しても問題ない。実際、形態も多様でそれぞれメッセージにあふれた作品を見て進んでいくうちに、チャプターのことは忘れてしまう。
何といってもアルセナーレは建物そのものが絵になる。12世紀から第二次大戦後まで造船所として使われていた、900年以上(!)の歴史を持つ建物。日本の平安時代からあったと思うと、驚愕する。
レンガが露出した太い柱が並ぶ真っすぐな回廊。この空間で作品を展示できることは、アーティストにとっては名誉以上の喜びに違いない。どんな美しい会場も、歴史の威厳には敵わない。
何といってもアルセナーレは建物そのものが絵になる。12世紀から第二次大戦後まで造船所として使われていた、900年以上(!)の歴史を持つ建物。日本の平安時代からあったと思うと、驚愕する。
下の写真手前は、具体美術の松谷武判氏の作品「Venice Stream」の一部。床にある球体と周りの黒い円は、天井から吊るした袋の小さな穴から、会期前に墨汁を垂らして描かれたもの。
モロッコのYounes Rahmounの作品は、薄暗い部屋の床に置かれた77個の毛糸帽が、それぞれ光を覆っている。77という数字は信仰のレベルを示すものだそう。毛糸帽は伝統の象徴で、その下に隠された光は覆いを外されるのを待っているという例えらしい。
中国のLiu Jianhuaの金色の陶板を並べた作品も、外光を浴びて美しい空間を作っていた。
ビデオインスタレーションで人気だったのは、アメリカのCharles Atlasの「The Tyranny of Consequences, 2017」。大きなスクリーンで複数の夕陽の映像がシンクロし、横に置かれたデジタル時計がカウントダウンする。
7つのチャプターを通り過ぎると、常設パビリオンを持たない各国の展示が続く。アルゼンチンの馬と少女の作品はストーリーに引き込まれそうな迫力があった。
ここでは紹介しきれないたくさんのハイレベルな作品を観賞し、軽い疲労と充実感に満たされて会場を後にした。さすがヴェネチア。Viva Arte, Viva!