2017年9月11日月曜日

ペギー・グッゲンハイム・コレクション

ヴェネチアにはビエンナーレ以外にも訪れたい美術館がいくつかあった。運河沿いにあるペギー・グッゲンハイム・コレクションもその一つ。


ペギー・グッゲンハイムは、キュビズム、抽象派、シュルレアリスムなど。当時最先端だった20世紀美術を収集し、世界に紹介した人物。ニューヨークのグッゲンハイム美術館を設立したソロモン・グッゲンハイムの姪に当たる。ニューヨークで育ったペギーは結婚後、ヨーロッパに渡り、アートシーンの中心に身を置いて、デュシャンやブランクーシなどのアーティストたちと親交を深めた。

常設コレクションの展示室は、ミロ、マグリット、ダリ、ポロックなどなど、パッと見ただけで誰の作品とわかる、20世紀を代表するアートが並ぶ。ヴェネチアで見るのは不思議な感じもするが、彼女は1948年のヴェネチア・ビエンナーレで、ポロックやロスコの作品を初めてヨーロッパに紹介し、その後、ヴェネチアに移り住んだ。そこで自分のコレクションを夏の間だけ一般に公開するようになったのが、この美術館の始まり。



訪問時は二つの企画展も開催中。「Picasso on the Beach」と「Mark Tobey: Threading Light」。

ピカソのほうは、海辺をテーマにいずれも1937年に制作された数作品の展示。習作との比較も見られる。

マーク・トビーのほうは、彼の20年間に渡る作品を網羅した一大回顧展。「ホワイト・ライティング」と呼ばれた細い白い線を無数に重ねていく手法で知られたトビーが、その後、日本の墨絵に影響を受けたり、大型の作品に移っていったりという変遷を追う、興味深い展示だった。

スカルプチャー・ガーデンも広くはないが、気持ちがいい空間。ヴェネチアの街中の混雑からしばし離れ、20世紀アートの散策を。