ダミアン・ハーストというアーティストは、どうも、真っ二つになってホルマリン漬けになった牛とか、本物のダイヤモンドでぎっしり覆われた頭骸骨とかのイメージが強く、「成功しているのはわかってるがあまり好きになれないアーティスト」の一人だった。
しかし、ビエンナーレを見に訪れたヴェネチアで、ちょうどダミアン・ハーストの個展「Treasures from the Wreck of the Unbelievable (難破船アンビリーバブル号の宝物)」をやっていたので、見てみることにした。パラッツォ・グラッシとプンタ・デル・ドガーナの2つの建物をフルに使った大規模な展示。
どちらから鑑賞してもいいが、私はまず、プンタ・デル・ドガーナへ。サンタマリア・デッラ・サルーテ教会のすぐそば、運河に面した先端にある。
ここを初めて訪れた私は、建物の前にある白い彫刻を常設だと思い、横目で見てスルーしてしまったのだが、実はここからハーストの展示が始まっている。
「2008年、東アフリカ沖で難破船の遺骸が発見された。船は奴隷の身分から脱出して財を成した伝説の人物、アモタン2世。その財宝が2000年ぶりに引き上げられた。修復前でサンゴなどが付着したままの彫刻のほか、改修された一連の財宝の複製品も展示されている。」
という説明を読んでから、観賞スタート。
しかし、ビエンナーレを見に訪れたヴェネチアで、ちょうどダミアン・ハーストの個展「Treasures from the Wreck of the Unbelievable (難破船アンビリーバブル号の宝物)」をやっていたので、見てみることにした。パラッツォ・グラッシとプンタ・デル・ドガーナの2つの建物をフルに使った大規模な展示。
どちらから鑑賞してもいいが、私はまず、プンタ・デル・ドガーナへ。サンタマリア・デッラ・サルーテ教会のすぐそば、運河に面した先端にある。
ここを初めて訪れた私は、建物の前にある白い彫刻を常設だと思い、横目で見てスルーしてしまったのだが、実はここからハーストの展示が始まっている。
「2008年、東アフリカ沖で難破船の遺骸が発見された。船は奴隷の身分から脱出して財を成した伝説の人物、アモタン2世。その財宝が2000年ぶりに引き上げられた。修復前でサンゴなどが付着したままの彫刻のほか、改修された一連の財宝の複製品も展示されている。」
という説明を読んでから、観賞スタート。
なるほど、サンゴが付着したままの石像。良くできてる。奥には、同じようにサンゴが着いたクマの上に人が乗った銅像もある。と、この辺までは、何の疑問も持たずに鑑賞するのだが、進むうちに分からなくなってくる。
え、この貝殻、本物?
他にも、特に手を加えられていないエジプト風の胸像や、難破船から引き揚げられた(と思われる)金貨や財宝のレプリカなど、考古学博物館のような展示が続く。明らかにハーストが作ったとわかるサンゴ付き彫刻や、ご丁寧にそれを引き上げているダイバーの映像も混ざっているのだが、一体この展示って、どこまでが本当なの?と、虚構と思っていた設定が崩されていく。
まさにそれが、ハーストが狙っていたことなのだ。
難破船の話は100%虚構。展示物も全て、ハーストが作った現代の作品。それを知ると改めて驚愕する。それらの制作にかかった年月と労力とコストは膨大であることが想像できるからだ。
プンタ・デル・ドガーナを見た後、観光客で混雑する水上バスで対岸に渡り、パラッツォ・グラッシへ。
一歩入って、また驚愕した。
通常の美術館に収まるレベルを超えた巨大な銅像。そのスケールにただ圧倒される。パラッツォ・グラッシのこの展覧会のホームページには、制作過程のビデオがあったが、それを見るとその巨大さが良く分かると思う。
ちなみに、海底からサンゴがついたまま引き上げられたガンダムは、20センチくらいの高さだった。隣にはミッキーマウスもいた。
二つの会場を見終わって、ハーストが好きかどうかと問われるとまだわからないが、観客を引き込む(だます)ストーリーテリングの力と、大きさも作品数も含めたそのスケールは、ただすごいと感心し、見方が変わったことは確か。
この展覧会は2017年12月3日まで開催しているので、ヴェネチアを訪れるならぜひ立ち寄って頂きたい。