何よりマラガの最大の強みは、ピカソが生まれた地だということ。こればかりは他の都市には真似できない。
ということで、マラガに来たらまずピカソ美術館へ。
作品数はパリやバルセロナに比べれば少ないものの、一生を通してドラマティックに変化し続ける、一人のアーティストとは思えない作風の豊かさを見せる力は、他に引けを取らない。
見どころの一つは、ピカソが最晩年の90歳を超えて描いた銃士の絵。その色鮮やかなエネルギーに、改めて驚かされる。
並行する企画展として、ホアキン・トーレス・ガルシアの回顧展を開催していた。ウルグアイとカタルーニャの血を受け継ぎ、20世紀初めにカタルーニャで起こった「ノウセンティズム」を代表するアーティストとして知られる。絵画、彫刻からおもちゃ(玩具会社を経営していた)まで、幅広いメディアを手掛け、やはりピカソのように常に新たな作風にチャレンジした人。バルセロナやパリでピカソと親交があり、お互い影響を受けていたらしい。二人の間の未完に終わったプロジェクトに関する書簡も展示されていた。
建物は16世紀のアンダルシア建築のブエナビスタ宮殿。なぜかその地下には古代の遺跡がある。ヨーロッパで最も古い都市のひとつであるマラガの、紀元前7世紀のフェニキア都市だった時代にまで遡る遺跡が見られるのだが、ピカソとも、16世紀のアンダルシア建築とも全く関係ないのでちょっと面食らう。まあ、せっかくなのでマラガ観光の一環として見ておいて損はない。
そしてもう一軒はピカソの生家にあるピカソ財団。ピカソが生まれ少年時代を過ごした家は、プラザ・ド・ラ・メルセドという広場に面した華やかな一角にある。ピカソは都会っ子だったのだ。
そして、ピカソがよくモチーフにしていた鳩は、ここにルーツがあったことにも気づく。この広場をはじめとしてマラガには鳩がたくさんいるのだ。ピカソにとって鳩は故郷を連想させるものだったのかもしれないと思う。
ここでは19世紀終わりにピカソとその家族が暮らしたアパートメントを再現・展示しているほか、陶器やドローイングなど、数点のピカソの作品もみられる。
ニューヨークのMOMAにある「アヴィニヨンの娘たち」の貴重なスケッチも必見!