東京で沖縄アートに触れる機会はあまりないため、ほとんど何の予備知識も持たずに訪れた。
建物はグスク(城)をイメージした、石の要塞のような外観。
中は明るく、外光を取り入れた展示室もある。
しかし、アメリカに心酔していたわけではない。彼の作品のメッセージはパッと見てわかる単純なものばかりではないが、一貫して戦争や基地問題をテーマにしている。2015年に亡くなる前の晩年まで、米軍やオスプレイを題材に思想を込めた作品を制作していた。ただ、その表現は怒りや抗議をあからさまに出すのではなく、静かに、時にはシニカルに伝える。
コレクション展は「沖縄美術の流れ」と称し、沖縄美術を戦前、戦後、復帰後、そして現代に分けて展示。特に戦後の作品は、占領という、本土が経験しなかった特有の背景での人々の生活や思いを扱ったものが多い。実際、作品を見て初めて考えることもある。
前述の真喜志氏が、会場で見た生前のインタビュー映像で、沖縄の日差しは強いから、その分落ちる影が暗くなる、ということを言っていた。
ここで鑑賞したアートは、そういう光と影の存在を実感させてくれる。でも、後味はネガティブではない。