目黒のホテル雅叙園東京で「TAGBOAT × 百段階段」展を見た。
雅叙園は「昭和の竜宮城」と呼ばれたそうで、独特で絢爛豪華な装飾に彩られている。中でも「百段階段」は1935年に建てられ、雅叙園の中で現存する唯一の木造建築で、東京都指定有形文化財に指定されている。100段、正確には99段の階段が7つの宴の間をつなぐ。
なぜきっちり100段じゃないかは定かではないそうだが、「未完の美」を求めたのだろうと私は解釈した。
その7つの部屋に、30名の新進アーティストたちの作品が展示されている。
歴史あるものと新しいもののコラボレーションは珍しくないが、これは面白い共演だった。そもそも奇抜な雅叙園の装飾が、型にはまらない現代アート作品を前に、その背景としてただあるのではなく、むしろ競っているというか、しゃしゃり出ているというか、本領を発揮してる感じがしたのだ。
特に、色鮮やかな木の浮彫の絵の自己主張の強さ。どちらが現代アートかわからなくなる。
展示された現代作家たちの作品も、もし白い壁のギャラリーで展示されていたら全く違うものに見えたかもしれない。ここではいっそうおどろおどろしく見えた作品もあるし、全体的にインパクトが増幅されていたと思う。
百段階段の各部屋は、天井や欄間の絵のほか、建具や柱にも異なる細やかな意匠が凝らされていて、それだけで見どころ満載(それを説明すると切りがないのでここでは省く)。以前も訪れたことがあるが、今回のほうが現代アートとの相乗効果で、強く印象に残った。
新旧アートの全力アピール。この企画展は2020年10月11日まで。