2021年7月10日土曜日

パビリオン・トウキョウ「木陰雲」

 「パビリオン・トウキョウ2021」というイベントが始まっていたのを知った。東京都の主催で、「新国立競技場を中心とする複数の場所に、建物やオブジェを設置し、自由で新しい都市のランドスケープを提案する世界初の試み」という主旨らしい(世界初!?)。明らかに東京オリンピック関連で計画されたものだが、緊急事態宣言と無観客が決まった今も、アートプロジェクトとして淡々と実行されている。

梅雨の晴れ間の日、都内に9つあるパビリオンの一つ「木陰雲」を見に行った。石上純也さんの作品で、会場は九段ハウスと呼ばれる旧・山口萬吉邸。昭和初期のモダン邸宅だが、今回は庭園のみを使用。


ビルに囲まれた庭園は、少しさびれた感もあり、普段は正直なところあまり風情を感じない。そこに今日は人工の森が出現。このためにした植栽と、炭化させた黒い杉材の構造体が庭園全体を覆い、頭上のいびつな穴から水分を含んだ木漏れ日がキラキラと差し込む。周りのビルも見えず、本当に森にいるような気分。これから本格化する夏にぴったりのインスタレーション。

イベントは9月5日まで開催しているので、他のパビリオンも行ってみたい。どんな「都市のランドスケープ」が見られるかしら。