2022年10月30日日曜日

リミニのマラテスティアーノ寺院

イタリア、エミリア=ロマーニャ州のリミニという街はアドリア海に面したリゾート地。日本からここを目指して観光で行く人は多くないと思う(少なくとも私の周りでは聞いたことがない)。行くとしたら仕事か(大きな展示会場がある)、近くのサンマリノ共和国に行くついでに寄る、というケースがほとんどではないだろうか。

でも、もしリミニを訪れる機会があったら「マラテスティアーノ寺院」は行ってみてほしい。名前は15世紀にこの寺院の改装を依頼した人物の名前・Malatesta(マラテスタ)から取られている。

中央の祭壇にはジョット・ディ・ボンドーネ作とされる十字架がある。パドヴァでジョットのフレスコ画を見た後だったため、せっかくなので見てみようと思った次第(ちなみに私もリミニは仕事で行っていた)。

でもジョットの十字架より、むしろ教会そのものに魅了された。

大理石のファサードの外観も堂々として絵になるが、内部の装飾にも目を奪われる。



 
マラテスタ公から改装を依頼されたのは、マルチな才能を発揮し天才と呼ばれた初期ルネサンスの建築家、レオン・バッティスタ・アルベルティ。教会をリノベーションして自分と妻の霊廟にしたいという注文だった。贅を尽くしたアーチ部分の装飾や、礼拝堂を飾る彫刻の数々。やはり初期ルネサンスの巨匠、ピエロ・デラ・フランチェスカのフレスコ画もある。



後から知ったが、その後マラテスタ公は教会から除名されて失脚し、この寺院の一部は未完で終わっている。また第二次大戦中にも激しく損傷し、戦後に発見された残骸を使って修復された。修復技術がよほど素晴らしかったのだろう。見学中にそんなことは想像もしなかった。

オフシーズンで静かなリミニの街を、充実した気持ちで後にした。