今回ルーアンを訪れた目的は、その大聖堂よりむしろ、デヴィッド・ホックニーの展覧会を見ること。昨年、東京都現代美術館で見たホックニー展がとても印象的で、彼が現在住んでいるノルマンディーでの展示は是非見たいと思った。
2019年からノルマンディーに居を構えたホックニーは、iPadを駆使してノルマンディーの自然の風景を色鮮やか且つチャーミングに描いている。環境に合わせて新たな道具を軽やかに取り入れ、新たな作風を生み出すホックニー。
「David Hockney Normandism」と題された今回の展示は、ルーアン美術館(Musée des Beaux-Arts de Rouen)で開催されている。なんと入場無料。ホックニーの自画像が入口で迎える。
この企画展はノルマンディー全体で展開している印象派フェスティバルの一環で、ルーアン美術館の印象派絵画のコレクションとホックニー作品が一緒に展示されているのもここならではの趣向。モネに挟まれたホックニーは滅多にない。
ホックニーの作品はiPadのドローイングと油彩画の両方が展示されている。東京で見たような超大作(90mの絵巻)はないが、ノルマンディーの春の風景を描いた作品はどれも明るくて美しい。多くの人がカメラに収めていた。
「もし彼の時代にiPadがあったら、モネだって使っていただろう! 」というホックニーの言葉が会場にあった。
これからも可能性は無限。前向きなメッセージを受け取った展示だった。