2024年5月13日月曜日

ノルマンディーでデヴィッド・ホックニーを見る

フランス・ノルマンディーのルーアンはパリから電車で1時間20分。モネが何枚も描いた大聖堂で知られる。


今回ルーアンを訪れた目的は、その大聖堂よりむしろ、デヴィッド・ホックニーの展覧会を見ること。昨年、東京都現代美術館で見たホックニー展がとても印象的で、彼が現在住んでいるノルマンディーでの展示は是非見たいと思った。

2019年からノルマンディーに居を構えたホックニーは、iPadを駆使してノルマンディーの自然の風景を色鮮やか且つチャーミングに描いている。環境に合わせて新たな道具を軽やかに取り入れ、新たな作風を生み出すホックニー。


「David Hockney Normandism」と題された今回の展示は、ルーアン美術館(Musée des Beaux-Arts de Rouen)で開催されている。なんと入場無料。ホックニーの自画像が入口で迎える。


この企画展はノルマンディー全体で展開している印象派フェスティバルの一環で、ルーアン美術館の印象派絵画のコレクションとホックニー作品が一緒に展示されているのもここならではの趣向。モネに挟まれたホックニーは滅多にない。


ホックニーの作品はiPadのドローイングと油彩画の両方が展示されている。東京で見たような超大作(90mの絵巻)はないが、ノルマンディーの春の風景を描いた作品はどれも明るくて美しい。多くの人がカメラに収めていた。


今回、新たに見られたのは夜の風景画。「The Moon Room」というコーナーに月夜を描いた作品が集められている。



時にはマグリット、時にはゴッホの作品へのオマージュを込めていることは想像できる。ちなみにオルセー美術館にあるゴッホの「星月夜(The Starry Night)」は下の写真。



解説によると、夜を表現するために、グリーンやブルーなどの色彩をどのように残し、黒やグレーの影とどう組み合わせるか、やはりiPadでの検証が役に立っているらしい。

「もし彼の時代にiPadがあったら、モネだって使っていただろう! 」というホックニーの言葉が会場にあった。

これからも可能性は無限。前向きなメッセージを受け取った展示だった。