2012年9月17日月曜日

今年のハワイ島

今年も7月のほとんどをハワイ島で過ごした。

もう12年ほど前からほぼ毎年行っており、一回あたりの滞在日数は長くなる一方。
よく人には、「そんなに行ってて、飽きない?」と聞かれるが、全く飽きない。
他の場所にはあまりリピートしない私も、ハワイ島だけは別。

でもハワイといえば無条件に好きなわけではなく、私が好きなのはハワイ島(ビッグアイランド)。ハワイ州全体ではない。もちろんほかの島も好きだし、行ったこともあるが、比較にならない。

ハワイ島に2,3週間も滞在していれば、ホノルルあたりに一度は行く気になりそうなものだが、よほどの用事がない限り、行き・帰りの乗り継ぎで空港を素通りするのみ。それも今、直行便がないから仕方なく寄ってる感じ。

だから「ハワイ行ってたの?」などと、きっとホノルルだと思っているに違いない質問をされようものなら、
「そう、ハワイ島ね。」と明確に返すことにしている。

何がそんなにいいかというと、理屈ではなく、多分土地の「気」が合っているから。
ハワイ島はいわゆる「パワースポット」の一つとされているけれど、どんなパワースポットでも必ずいいかというとそうではなく、現に私には、あのアリゾナのセドナに行って全く何も感じなかったという残念な過去がある。

ハワイ島で過ごしていると、自然のリズムの中でリセットされる感じがある。
ほとんどが溶岩大地の島で、朝は鳥の声で目覚め、夜は満点の星を見上げる。

新聞で潮の満ち引きの時間を確認してからビーチに行くと、ちょうど潮が引き切った後、ウミガメが甲羅干しをしていたりする。
お腹を浅瀬の水に浮かせ、甲羅を水面から出している。でも日差しが熱すぎて、時々手で(足で?)背中に水をかけている。
そしてしばらくして潮が満ちてくると、海に帰っていく。

そんな風景、何度見ても飽きないし、また探しに行ってしまう。

今年のハワイ島で気付いたことの一つは、2年ほど前に大ブームだったカイト・サーフィンはあまり見かけなくなり、代わりにパドルボードが大人気。子供から大人まで楽しめるマリンスポーツ。

気付いたことのもう一つは、ここ2、3年ほど「For Sale」の看板が出たままの家がまだ多く残る一方、ずっと空地のまま止まっていた別荘地の開発が動き出していたこと。

市場の活性化はいいことだけど、ウミガメの甲羅干しの場所は、確保されますように。























2012年7月3日火曜日

エスパス・ルイ・ヴィトン「Awakening」

先週末、表参道のエスパス・ルイ・ヴィトンへ。
フィンランドのアーティスト3人のグループ展"Awakening"を開催中です。

入り口でハードカバーの素敵なカタログと、ヘッドホンを渡され、音の世界から鑑賞開始。

初めて外光を遮り暗室にした今回の展示は、星空に見立てた壁に囲まれた空間に、ペッカ・ユルハの大きなクリスタルのビーズのインスタレーションが一層輝きを放ち、印象的。

光ものに心を奪われ、他のビデオアートに入り込めなくなってしまいましたが。

ちょっとした異空間トリップ気分でした。


2012年6月10日日曜日

輝く夜の森 in Shanghai

上海に行くたび必ず訪れるのがMOCA Shanghai(上海現代美術館)。開館時間も21時半に延長され、更に行きやすくなりました。

開催中だった展示は「Van Cleef & Arpels, Timeless Beauty -  Over One Hundred Years of High Jewellery Creation」。ヴァン・クリーフ・アンド・アーペルの100年以上にわたる歴史とジュエリーの名品たちです。

いつもは外光も入り明るいMOCAが一変。入り口を一歩入ると、そこは外界から切り離された夜の森の始まりです。(普段の構造がすぐに思い出せないくらいの変貌ぶり!)

薄暗い森にはガラスの木々やカプセルが並び、その中にはライトアップされ、輝きも一層眩いハイジュエリーの数々が。幻想的な空間に、時間の感覚を失います。
和のモチーフを施した漆塗りの蝶のブローチの群れに見とれていると、虫の声が聞こえてくる・・・このリアルな森の感じ、細かい!

見る前は、コンテンポラリーの美術館でどうしてヴァンクリ?と思いましたが、今回の展覧会のデザインを担当したのは、Patrick JouinとSanjit Mankuという二人組。2011年オープンしたパリのマンダリン・オリエンタルのレストランも手掛けたデザインユニットです。

未来的なセッティングで伝統を語る、美しく興味深い展覧会。2012年7月7日まで開催です。

2012年6月8日金曜日

ラグジュアリー・トラベルの議論で考えたこと

上海で6月4日から7日まで開催されたラグジュアリー・トラベル・マーケット「ILTM Asia」に、今年もバイヤーとして参加しました。ハイエンド市場に特化したBtoBイベントで、昼間はミーティングが隙間なく組まれ、夜は各社が趣向を凝らした華やかなパーティ。常にハイテンションが要求される数日間です。

ここ数年、アジアのラグジュアリー・トラベル市場といえば、イコール中国人富裕層の台頭、という文脈で語られることがほとんどです。インターコンチネンタルホテルグループに至っては、明確に中国人富裕層だけをターゲットにした「Hualuxe」という新ブランドを打ち出すんだとか。

今年のILTMのオープニング・パネルでも、欧米出身のパネリストたちの話は「いかに中国人旅行者の気に入るサービスを提供するか」という流れになっていました。

しかし、この一連の話、私にはうまく言葉にできない違和感がずっと前からありました。

それをスパッと斬ってくれたのが、バンヤン・ツリーの創立者、Ho Kwon Ping氏。

「まあさっきから聞いてれば、やれ中国人だから朝食におかゆを出しましょうとか、中国人だからこうしましょうとか、そういう議論は長い目で見たら何の意味もない。過去にも同じ議論はあった。20世紀半ばに米国人旅行者が増えたときも、ヨーロッパのホテルはメニューにハンバーガーを加えたが、今となってはハンバーガーは世界中どこにでも溢れてる。今の中国は経済的発展が違う段階にあるだけのことで、特別じゃない。どこの国民でも、結局人間であることに変わりないんだ。」
(と、このままの言葉で語ったわけではありませんが、私が解釈して再編集したものですので、あしからず。)

会場、大拍手。欧米人も、アジア人も。
あのパネルで、あれほど観客をひきつけた発言はほかに聞いたことがありません。

そして私が得た結論は、うまく表現できなかった違和感の対象は「上から目線の迎合」だったのだということ。

これは旅行産業に限らず他の産業にも言えることですが、海外市場、特に日本を含むアジアや新興国市場に進出するとき、出ていく側には少なからず「自分たちのほうが進んでるもんね」という驕りがあるものです。

同時に、その市場で受け入れられるために、自分たちの解釈で造ったステレオタイプに対して迎合し、それを異文化理解だと言ったりする。

でも、海外に自国の文化を発信する側にも、そういうステレオタイプを生む責任の一端がないわけではありません。それも一種の迎合。

文化にも、サービスにも、迎合はあってはいけない。そんなことを考えた機会でした。

2012年5月18日金曜日

クルーズというスタイル

昨日、東京に停泊していたラグジュアリークルーズ船「Silver Shadow (シルバー・シャドー)」の船内見学をさせて頂きました。

定員382名とクルーズ船としては小型。
これくらいのサイズのほうが、思わず「これ船?」って聞きたくなる超大型客船よりも船らしさがあります。
船室は30平米前後から120平米台まで、ホテル並以上の広さ。船という限られた空間の中、無駄は極力排して造られているはずですが、ダブルシンクや大きめのウォークインクローゼットなど、ドレスアップする機会も多い長期のクルーズ旅行にあって欲しいものはちゃんと備わっています。

クルーズはライフスタイルだと言われます。
ゲストには常連も多く、中には様々な航路を乗り継いで世界中を廻り続けているパーマネントトラベラーのような人もいるとか。

一方、一般的な旅の選択肢としてはなかなか思いつきにくいのも事実です。
でも、旅のスタイルとしてはこれ以上楽なものはないかもしれません。
地上でアクセスするには面倒な場所も、朝目が覚めたら着いているし、一度船に乗ってしまえば、荷物を持って各地を移動する必要もありません。
普通の旅行ではあまり行かない土地に寄港できるのもクルーズならでは。
船内の食事や飲み物はすべてオールインクルーシブで、チップも含まれているので、面倒な計算も無し(*これは船の会社によってシステムが違います)。
料金も、食事と宿泊、且つ移動手段もついてくると考えると、1日当たりの金額は普通の旅行とあまり変わらなかったりします。

また女子にとっての楽しみの一つは、フォーマルなドレスコードの夜。
普段とは違うドレスアップをすることで、気分も「しゃん」とします。
友達の結婚式で一度着たきりクローゼットで眠っているドレスを活用するいい機会かも?

2012年5月2日水曜日

ジャクソン・ポロックと原弘

閉幕間近となった「ジャクソン・ポロック展」に昨日行ってきました。ポロックの生誕100年を記念して日本で初めて開催された大回顧展。
ポロックの作品は、一目見て衝撃を受ける人がいる一方、単品で見せられてもツボにはまりにくい人も多いと思います。私も後者のタイプで、これまで各地の美術館などで彼の作品を見ても、どうという感想を持たずにいました。でも今回の展示は、彼の生涯のコンテクストの中で作品を見せ、ポロックファンならずとも感情移入しやすい構成だったと思います。
その流れの中で見るクライマックスが、1950年制作の「インディアンレッドの地の壁画」。圧倒されるような色と線。最高潮に達していたポロックのエネルギーを感じました。

ポロック展と同時開催中の「原弘と東京国立近代美術館」展も、なかなか新鮮でした。今年60周年の同美術館の開館から23年間、美術展のポスターを一貫して手掛けたデザイナー原弘(はらひろむ)氏の作品群です。同氏のポスターのデザインは、古さがかえって新しさを感じさせるものも、そのまま現代にあってもまったく違和感がないものもあり、均整の取れた普遍的な美しさを見せています。興味深かったのは、同氏がグラフィックデザインを手がけた「FRONT」という日本の対外宣伝誌。ソビエト牽制の目的で、戦前から戦中にかけて複数言語で発行されたそうです。要は日本の軍隊の優秀さ、強さをアピールするためのものですが、これがとても美しいビジュアルで構成されているのです。今だったらこんな美しい軍隊グラビア誌、作れるでしょうか?
美は、時に圧倒的な強さを印象付ける手段にもなるのだと実感した作品でした。

2012年4月19日木曜日

ミーソン遺跡

ベトナム中部、ホイアンからほど近いところにあるミーソン遺跡は、人類の歴史を二つの側面から考えさせます。

ひとつは文化的側面。チャンパ王国の重要な聖域だったミーソンには、ヒンドゥー教のシヴァ神をまつるための寺院が4世紀から14世紀に渡って建てられました。

カンボジアのアンコールワットとよく比較されますが、建築時期はミーソンのほうが先で、アンコールワットに影響を与えたとも言われます。材質はアンコールワットは砂岩なのに対し、ミーソンは粘土です。赤いレンガで造られた各寺院の外壁には、女性的で優美な曲線の彫刻が多く見られます。

石板に書かれたサンスクリット語の碑文は、何を意味するか全くわからないのに、見ているだけで穏やかな気持ちになるから不思議です。

ミーソンの建築には、いまだ解明されていない謎がいくつかあるそうです。例えばレンガとレンガを強固に接着した物質は何だったのかとか。こういうことを聞くと、「ひょっとして宇宙人が造ったんじゃ・・・」などと考えてしまうんですが。

もう一つの側面は、戦争です。
建物の多くがベトナム戦争中の爆撃で破壊され、残った建物にも数多くの銃痕が。ゲリラが潜伏していたため集中攻撃を受け、寺院の内部の壁にまで執拗な銃撃の跡が残っています。寺院の周りにある複数のクレーターも爆弾投下でできたものです。

人類(たぶん)が残した歴史的遺産も、戦争という状況下ではただの建物に過ぎなくなるということ。そのすさまじさと、優しい女神たちの像とサンスクリットの碑文が、皮肉な対比を見せています。

現在ミーソン遺跡では各国による修復作業が進んでおり、また、駐車場から寺院群へは森の遊歩道も整備され、気持ちのいい空間作りもされています。ベトナム中部を旅する際は、足を延ばす価値がある場所です。