2013年5月16日木曜日

印象派たちの光と色~ル・アーヴル 印象派誕生の地

ノルマンディー地方の港町、ル・アーヴルは、印象派が生まれた地とされる。「印象派」という呼称の由来となったクロード・モネの「印象・日の出」が描かれたのがここル・アーヴルだったのがその理由。

ル・アーヴルの街中には、エトルタと同じように印象派の画家たちの絵のパネルが4か所にある。うち二つがウジェーヌ・ブーダンで、あとはモネとカミーユ・ピサロ。

ブーダンのパネル
第二次大戦後に再建された街並みが世界遺産に登録されているル・アーヴルだが、印象派の画家たちにとってのル・アーヴルでのモチーフは街ではなく、港だった。

ブーダンやピサロを中心に印象派のコレクションを持つアンドレ・マルロー美術では、様々な芸術家たちのル・アーヴルを見られるが、みな、港として描かれている。現在開催中のピサロの企画展のテーマもやはり「港町」。セーヌ川に面したルーアン、イギリス海峡に面したディエップ、そしてル・アーヴルの3都市に滞在したピサロの作品を都市別に展示している。ピサロはどの港町でも短期間で集中的に多くの点数を描き、同じ風景を天候や光の違いによって描き分けていた。そして満足すると、別のモチーフを求めて他の土地へ移った。また、パネルでは荒れた海を描いていたブーダンは、普段はおだやかなル・アーヴルの海を描くことが多かったのも、同美術館での展示でわかる。

アンドレ・マルロー美術館にはモネの所蔵作品は比較的少ないが、実は「印象・日の出」が描かれた記念すべき場所にある。美術館から道を渡った反対側にそのパネルが設置されている。
モネ「印象・日の出」のパネル
 残念ながら、パネルと海の間には駐車場があり、さらに海には巨大なクルーズ船が停まっていたりするので、モネの絵と同じ風景は臨めないかもしれない。でも、ここからビーチまでの海沿いの道を歩きながら、芸術家たちを惹きつけた港町ル・アーヴルの魅力を探るのもいい。