素敵なギャラリースペースを友人アーティストとシェアしている。
ロペス氏のテーマは「時」。キューバの過去を描くことで、現在のキューバのアイデンティティへのつながりを示唆する。
彼もまた、昔のキューバの写真を使う。ロペス氏の右にあるShellの看板のように、古いブリキの看板の表面に同時代の別の写真をプリントした作品を多く作っている。
メディアは看板に限らない。
上の写真の奥の壁にあるのは、代表作の一つ「Havana Monopoly」シリーズの1枚。1920年代から50年代に栄えたカジノやマフィアを中央に描き、縁取りに1959年の革命後にキューバ政府に国有化されたアメリカ企業の株券をに並べている。その後キューバがたどることになる苦難の引き金ともなった儚いモノポリーを、皮肉な華やかさで表現している。
海外にも顧客の多いロペス氏。この作品もドイツのコレクターに売約済みとのことだった。
彼を含むキューバのアーティストの多くが、「キューバのアイデンティティ」を作品の軸としているのは、ある意味、中国の現代アーティストたちと共通するものを感じる。でもそれは必ずしも商業的な成功や、政府の批判を目的としたものではなく、これから西側の世界にもっと巻き込まれていくであろう自国キューバを、愛と期待と、ほんの少しの心配を持って見守っているように思えた。
キューバのアートは、きっとこれから急速な展開を見せるだろう。目が離せない!